「サ高住」と「有料老人ホーム」の違いが正しく理解されていない件について
調べてもわからなかった「サ高住」と「有料老人ホーム」の違い
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)と有料老人ホームの違いをネット検索すると、よくわからない解説が多くて苦労しました。実際に働いている介護職員に聞いても曖昧な回答がほとんどです。
でも介護職員さんを責めたりしないでください。職員さんは高齢者ひとり一人と向き合って一生懸命働いています。その仕事の中では、サ高住なのか有料老人ホームなのかの違いはないのです。
介護職員さんにとって違いがあるのは、介護保険上のどのサービスを行っているかであって、箱モノである「サ高住」「有料老人ホーム」ではないと思います。(気の早い方へ申し上げておくと「特定施設入居者生活介護」については後述します。)
わかりずらい書き出しになってしまって少し反省していますが、早速、要点をまとめていきます。
1.サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)
かつての高齢者向け住宅は、複数の類型(高専賃、高優賃、高円賃)がありましたが、現在は「サ高住」に一本化されています。「サービス付き高齢者向け住宅」の「サービス」とは「①状況把握サービス」と「②生活相談サービス」の2つです。
ここでの疑問:「食事の提供は無いの?」
サ高住のサービスに「食事提供」は求められていません。多くのサ高住が行っていますが「任意」のサービスです。実際に私の親戚の入居先を探した際に多くのサ高住へ資料請求しましたが、食事提供なしは1件もありませんでした。個人的に「食事提供」は必須サービスだと思っています。
次に サ高住は、「施設」ではありません。「〇〇〇〇付き高齢者向け住宅」の名称のとおり、あくまで「住宅」に分類されます。
ですから、施設ではないサ高住で「介護サービス」は行いません。「では、どうするの?」ということですが、サ高住内の「介護サービス」は、建物に併設しているか、併設していないかは別として、行政から指定を受けた「介護保険サービス」事業所が行っています。一般住宅で受ける「介護保険サービス」と同様のいわるる「在宅サービス」を別に契約することになります。
サービス事業所が併設かどうかは「別として」と言いましたが、やはり「介護保険サービス」の事業所が、同一建物内に併設しているほうが安心感は高いと思います。
ちなみに「在宅サービス」と記述しましたが、正確には介護保険法(第8条)の「居宅サービス」や「地域密着型サービス」といいます。(要支援認定の方を対象とする「予防サービス」を含む)
サ高住に併設されているのが多いサービスでは、「訪問介護」「訪問看護」「通所介護」「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」「小規模多機能型居宅介護」などが代表的のようです。(それぞれのサービスについても勉強しましたが、本題から逸れるのでここでは割愛いたします。)
冒頭に書いた「サ高住で働く介護職員さん」は、サ高住という建物内で上記のような「介護保険サービス」に従事している方が多いということを知りました。後述する「住宅型有料老人ホーム」も同じなので、両者の違いが説明できる介護職員さんよりも、入居する高齢者の健康状態や個性、禁食・嗜好、気持ちの状態などを専門職として理解している職員さんのほうが尊いと思っています。
最後に、有料老人ホームとの違いで特筆すべきは、サ高住独自の補助金・優遇制度があることです。
この補助金等を受けるためには、居室の面積や浴室、台所などの設備についてサ高住独自の基準があります。また開設までのプロセスでは「登録」を受けた後でなければ工事に着工できないなどのルールに違いもあります。(入居先探しでは不要な知識でしたが、周囲で住宅型有料老人ホームが増えている背景に関係すると考え、大変興味深いお話でした。)
念のため、誤解がないように付記しますが、上述のサ高住に求められる基準を上回る有料老人ホームも沢山あります。サ高住のなかでも設備や面積はピンキリですし、有料老人ホームよりもサ高住のほうが居室が広いとか、設備が充実しているということでは決してありません。
次ページでは、有料老人ホームについて説明します。