カスタマーレビュー
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人間として生きる意味を問う、一つの視点 
(2008-07-22)
本書の意図は、著者がプロローグにおいて述べている次の文章に示されている。『これから私がやろうとしているのは、私たちの新しい経験と最も現代的な不安を背景にして、人間の条件を再検討することである。』。
その再検討の内容を一言で纏めてみると、「人間の活動力の基本的要素は三つあって、労働、仕事、活動であり、それぞれの”人間の条件”は、生命それ自体、世界性、多数性である」というものだが、この言い回しがどういう意味なのかは、読んでのお楽しみとしておきましょう。
本書には、アレントの政治哲学上の重要な概念、例えば「公的領域と私的領域」などの考え方がちりばめられていて、そこを理解するのが面白いと思うのだが、小生のような一般読者が通読しただけではかなり難解。
だが、少し極端に言えば、現代社会は経済活動などの私的領域が拡大したもので、そこでは生命価値が絶対だから古代と違って「労働」の地位が第一位となっていて、科学技術の発達は人の力で世界を創る「仕事」を充実させはするが、人間の「活動」を創出する本来的な公的領域は喪失し、人々は自ら進んで類人猿に成り下がりつつある、という見方には確かに一理あると思う。
もっと労働に意欲を示せ 
(2007-04-06)
よくよく考えたら、あんたは、結局、働かずに楽して思索に耽っているだけの有閑マダム(笑)ではないですか?世の中の人はそんなにヒマではないのですよ。もう少し生きると言うことをまじめに考えましょう。
自分の視点の軸にすえる 
(2007-02-19)
大学一年のとき、授業で紹介されたのがきっかけでアレントを読み始めた。
彼女はドイツ系ユダヤ人であり、ナチス政権下のドイツでは、迫害を受け、アメリカに亡命した。「人間の条件」を読む前に、多少、長くはあるが、「全体主義の起原」を読んだほうがいいと思われる。アレントを深く知る上でも、「人間の条件」をよりよく読むためにも。
アレントの難解さは、内容的なものとあいまって、形式的なものもある。
というのは、彼女がドイツ系ユダヤ人でありながら、英語で著作活動をしていることが一点
また、読み進めていくうちにわかると思うが、文章中、章をまたいでの同義反復と定義の揺れ等が目立つ。では、こうした難解さを通しても、彼女の著作を読む価値(必要)はあるのだろうか。私はこの問いに対して、彼女の提唱する<生>の思想と、マルクス批判を通しての
オートメーションに代表される効率至上主義、またそこから出る人間疎外という現代の状況を客観視できるものであると答えたい。現在、アレントはちょっとしたブームになっている感さえあるが、こうしたことは、アレントの思想が今なお妥当性を持っていることの現われなのではないだろうか。
しかし、その一方、この書において、「公的なるもの」のモデルとされたのが、ギリシャのポリスや、ローマの議会等の古代のものであるということを忘れてはならない。
こうした時間、場所の隔たりを無視してそのまま日本に当てはめるわけにはいかないからだ。
この書は、読む上でも、また論文等に利用する上でもある程度の技量と知識を必要とされる。
しかし、こういったところが名著と言われる所以なのかも知れない。
名著だが読解には注意が必要 
(2005-09-24)
今流行の「公と私」とか「公共性」を考える際に外せない本です。
まずアレントは人間の行為と三つに分類しますが、この労働、仕事、活動という分類は、マルクスに影響を受けたものであることは明らかでしょう。それにからめて、ギリシャ時代の「公共性」の概念について議論が展開され、近代になってこの構造が崩れてきたことが述べられています。しかし、いろいろな論者が述べている通り、単純に「公共性の復権」を訴えた著作である、というのは誤読ではないか、と感じています。
わたくしはアレントのよい読み手であるかどうかはわかりませんが、彼女の著作に共感を覚えている者としては、他の著作に比べて現代日本においての重要性は落ちるような気がしています。
その理由は、近代民主主義が成立する以前の日本の構造が、ここでアレントが呈示している古代ギリシアのそれとは異なっているということが大きいと思います。ここで展開されている公共構造の転換というものは、日本においては必ずしも当てはまらないのではないでしょうか。
しかし、このアレントの議論をそのまま日本に当てはめるという愚さえ犯さなければ、その筋道を追うことはこの問題について考えてゆくうえでのヒントを与えられることになるのは間違いないでしょう。
刺激的な本です 
(2003-07-25)
刺激的な本だと思います。私自身は宗教思想が専門で、政治学についての知識はあまりありませんが、何かこの書からは宗教的なメッセージとでも言いうるようなものが匂い立ちます。著者はその生い立ちから、こうした著作をものするとき、全存在をかけていたのではないでしょうか。
20世紀を代表する思想家であると思いますし、難解ではありますが優れた書であることは間違いないと思います。