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薄っぺらい構造改革論への警鐘 
(2004-08-18)
しばし耳にする「弱い企業・銀行は潰れたほうが日本経済のためである」との主張は、@バブル期に判断を誤った経営者への制裁という倫理的な観点、A倒産により余剰となった人材・施設といった資源が、新たな経営者の下、新規分野において活路を見出しうるという経済効率性の観点、の2つの観点から、それなりの妥当性を有するがゆえに、根強い信奉者が多い。
これに対し、本著において筆者は、古今東西の豊富なエピソードや経済理論を駆使して、不況下の清算主義的政策は不況を更に悪化させるだけということを示し、創造的破壊の議論の危険性を指摘する。同時に、日本が経験しているようなデフレ環境は、創造的破壊の信奉者が重視する産業の構造調整にとっても百害あって一利なしであり、まずは、何にも増して、積極的なリフレ政策に注力すべきであると主張を展開する。 確かに、不況期より好況時のほうが、ビジネスアイディアを持った人の新規参入は容易であろうし、その結果、産業の構造調整は円滑に進むであろう。
本著において展開される筆者の論理展開は見事であり、稀に見る力作だと思う。何よりも、事例・引用の豊富さが偉大である。
興味があるのは、本著を書いてから2年後の今、著者が日本経済の回復を、何に起因させるかである。
日本経済の現状を見ると、小泉政権は、結局、「改革なくして成長なし」という「清算主義的」政策でデフレからの脱出に成功しつつあるように思える。もちろんこれは誇張であり、実際には、補正予算の編成や量的緩和といったリフレ的政策も採用してきたが、かといって、筆者の思い描いていたような、思い切った「政策転換」がなされたとも思えない。
現実が筆者の予想とは異なる動きをしたということなのか、それとも政府の政策が意外と「大胆」だったいうことなのか、著者はどう考えるのだろう。
確かに金融緩和の効果は現れつつあるように見える 
(2004-03-26)
いわゆる構造改革と金融緩和という流行の対立軸を語った本だったので軽い内容かと思って読み始めたが、簡潔にわかりやすい文章ながらもきちんと“経済学”を議論していると思う。実際、福井総裁になって一年、金融緩和し続けることを市場は好感して株価は上がっているようにも思えるので、今から一読するのも説得力があってよいと思う。インフレターゲットで金融緩和だとなぜ不況脱出が可能なの?という議論をやさしく、しかし経済学的に知りたい人にはよいのではないでしょうか。
インタゲと不良債権処理は同じ?不良債権処理派、構造改革派の人にこそ読んでほしい本 
(2004-01-05)
現実の経済政策の問題を、経済学の論理から理解したい人には是非お勧めの本である。自分の立場がどこにあるのか、そのロジックはどうなっ
ているのかをしっかりと理解できる良書である。
実は私はこの本を読む前まで、構造改革派の一部である不良債権処理派であった。ただし、それがどうして不良債権処理が必要なのかを経済学の論理にのっとって説明することはできなかったと思う。多くの人は私と同じく、なぜある政策が必要なのかを経済学的に説明することはできてないのではないだろうか。
その点、この本はリフレ派はもちろん、不良債権処理派、構造改革派の経済学の論理にもきちんと立ち返って説明している。この点、ともすれば一方的な議論にとられてしまう他のリフレ派の本とは一線を画していると思う。例えば著者は不良債権処理もリフレ政策も、債権者から債務者への所得移転を伴う点で同じであるとし、現にインフレターゲットの総帥のようにいわれているバーナンケは、両方の政策を支持している、としている。
私はこの本を読了後、リフレ政策を支持するようになった。が、問題は実行可能性だろう。
創造的破壊は悪政だったのか… 
(2003-12-21)
シュンペンターや、彼の信奉者たちが盛んに主張している「創造的破壊」という考え方を、自分も無批判に受け入れてきたのだが、それが現実の経済では必ずしもワークしないという事実を、この本によって思い知ったような気がする。ダメ会社への資本注入も時には効果的なのか…と考え直した。資本収益率がGDP成長率を少しでも上回っていれば、巨額債務はいくら増え続けても良しとする「動学的効率性の条件」について、もう少しわかりやすく説明してもらいたかった。
経済学が面白くなる本 
(2003-03-06)
今の日本にとって、どのような経済政策が必要なのか?
この問題について、とても解り易くまとめられている。
何故、「竹中」では駄目なのか、これを読めば、よく解る。
そして、経済学は本当はとても面白い、と実感できる。