カスタマーレビュー
おすすめ度:
傑作。でも、怖すぎる。 
(2008-12-27)
筒井氏にしては珍しい(?)娯楽色全開の傑作《夢SF》。でも、正直言って、怖すぎた。特に、筒井氏の圧倒的な筆力で描かれる、現実崩壊シーンの《リアリティ》は、半端ではない。面白くて思わず一気読みしたけど、読み終わった後は、冷や汗でグッショリ。そんな《悪夢》のような傑作です。悪夢系が好きな人には、オススメです。
良くも悪くもまっとうなエンターテイメント 
(2008-09-20)
斉藤美奈子は、夢と現実、善と悪といった作品の「二重性」を強調するが、その夢と現実が交じり合いながら、現実感覚が失われていくというような怪しい魅力といったものはこの作品にはほとんどない。
さまざまな人の夢が混交しながらも、人格が混濁するといったことも起こらず、リアリティに紛れ込む夢の部分も、「怪物」というようなかたちではっきり異物として捉えられ、どこまでが現実でどこからが夢かわからないといった、リアリティの足場を叩き壊すような現象は起こらない。登場人物もはっきり善と悪に分けられ、双方を行き来する人物さえあらわれない。そういう意味で、しっかり現実の側に足をおいて、夢をちょっとのぞき見るという、安心して楽しめるエンターテイメントという以上の作品ではない。とはいえ、文章の表現力やリズム、整然とした一部からだんだんと混沌とした状況へ進む展開など、作者の実力はしっかり感じられる。
夢の中へ夢の中へ行ってみたいと思いませんか? 
(2008-08-03)
他人が見ている夢の中に自由に入り込む事の出来る器械、【DCミニ】の能力で
さまざまな夢の中に颯爽と登場し、次々と問題を解決して行く夢探偵パプリカ。
明晰な頭脳に加え美貌にも恵まれた彼女の正体は、ノーベル賞も間違いないと言われている
世界的な精神医療の研究者・千葉敦子。
こう書くと、まるで近未来を舞台にヒロインが活躍するベタなSFアクション物のようだが…。
心配無用。筒井康隆の筆が抜群に冴え渡っている。
下手すれば荒唐無稽なだけの話になってしまいそうな所から一気にグイッと、
現実の世界で実際に行われている研究や治療方法が描かれてるんだなと錯覚し、
盲信状態に陥る寸前まで連れて行かれるのだ!。
それほど迄に小説の中での現実世界で交わされる、千葉と同僚の時田との会話や研究、
治療の進め方にリアリティーがある。なので、後半のDCミニ争奪戦が始まり、
夢と現実の境界線から人間の持つありとあらゆるイマジネーションや欲望が漏れ出して来る
怒涛の展開には心底痺れまくりだった!。
ページを捲る手が止まらない最高のエンターテイメント小説。
サイコとエロと狂気の共演 
(2008-04-24)
筒井康隆の作品には、エスパーをテーマにしたものがいくつかありますが、その系列に連なる作品だと言えます。主人公は精神医学研究所に勤める超一流の研究者千葉敦子。でもその正体は他人の夢とシンクロして無意識界に侵入する夢探偵パプリカ。
他人の意識に入り込みたいというのは多くの人がもつ願望だと思います。それをかなえてくれる不思議な設定。しかも人の意識に入り込むのは超一流の美女。サイコとエロティック、そして狂気がたくみに配置された筒井康隆お得意の物語です。
読み手の想像力次第 
(2007-09-24)
小説、というより映画やアニメの脚本を読んでいる感じ。
次はどんな展開に?と次のページをめくる期待感は薄い。
登場人物のキャラ設定が弱いのもあってか夢中になって読み進むには難しい。
読み手が、文章からいかに映像表現を想像豊かに思い描けるかで
面白さが変わってくる作品と思う。
読んでいくうちに、「夢」自体に興味を抱きたくなる。
内的世界の描き方は、夢日記をつけている私にとっては
文中の表現が「あ〜なるほど」といった感じ。
映像とセットで楽しむにはいいかもしれません。